冠岳山(クァナクサン/631m/ソウル市)

漢江の流れに向き合い雄々しく突き上がった冠岳山は、ソウル南方の防壁を成す山である。南泰嶺から三聖山(サムソンサン 455m)へと連なる山並は、まさに天然の防壁を形成していると言える。このように心強い山容を有していたことから、李成桂漢陽へ遷都をした際に、冠岳山は北漢山、龍馬山(ヨンマサン 595.7m)、徳陽山(トギャンサン 125m)と共に「外四山」の一つに列挙された。

ソウル市冠岳区衿川区果川市安養市に山裾を伸ばした冠岳山は、黄海を見渡せるほどひたすら高く山容が抜きん出ており、坡州市の紺岳山(カマクサン 675m)、開豊郡の松岳山(ソンアクサン 488m)、加平郡華岳山抱川市雲岳山と共に「京畿5岳」の一つに数えられている。

およそ「岳」の漢字が名に入っている山はそうであるように、冠岳山は岩山である。山頂をはじめ稜線や山の斜面も、まるで岩で刺繍を施したように岩が累々としている。それぞれ同じような岩山でも、北漢山を華麗な「華山(ファサン)」とするなら、冠岳山はまるで炎のような「火山(ハングル読みは華山と同じファサン)」[1]だと言える。この炎のような形状の山稜が、登山客にとって見事な「登山大聖地」となっている所以である。

<コースガイド>
1.  依然として人気を保つ、冠岳山横断コース
ソウル大学正門隣の出会いの広場(マンナメクァンジャン)から第4野営場を経由して恋主台(ヨンジュデ)に登り、果川郷校(クァチョンヒャンギョ)へと下るコースは最も人気のある一般的なルートである。所要時間、約3時間30分。

2.  ソウル大学周回コース
出会いの広場から冠岳山と三聖山の分岐点である山越峠(ムノミコゲ)を越えると、ソウル大学の実習林へと下る間の左側に何本かの登山道が現れる。その中の一つを恋主台まで登り、新工学館道もしくは息切れ峠(カルタッコゲ)から第4野営場への道を下山する。八峰尾根(パルボンヌンソン)は下山道として利用したほうが比較的楽である。所要時間、35時間。

3.  果川市民が挙げる周回コース
果川郷校を起点とするコースは、沢筋の道と尾根道をつなぐ周回登山が一般的である(所要時間、約3時間)。工業振興庁を起点とし、逸明寺址(イルミョンサジ)~426m峰~山頂~南稜~六峰尾根(ユッポンヌンソン)をつなぐ周回登山は、単調な登山道ではあるが岩稜登山の楽しさも増すコースである(所要時間、約4時間30分)。

4.  山容眺望1級コース 南北稜線縦走
地下鉄舎堂駅付近の南峴洞、観音寺(クァヌムサ)から出発し、559m峰~恋主台~仏性寺(プルソンサ)を経由、安養市の冠陽洞で締めくくる縦走コースは、遮るもののない眺望とスリルあふれる岩場の道を楽しみながら、冠岳山唯一の森林浴場へと下るコースである。所要時間、約5時間30分。

5.  新工学館を起点とする最短コース
ソウル大学の新工学館~慈雲庵(チャウナム)~王冠峰(ワングァンボン)岩稜の道は恋主台への最短登山道で、終始スリルあふれる岩峰でつながった絶景コースである。所要時間、約2時間。

    恋主台の下にある恋主庵(ヨンジュアム)では、朝昼の供養時間に登山客に食事を提供している。供養時間は朝6時~7時(休日は9時)、昼12時~14時。代金は志で。宗務所02-502-3234

    冠岳山の山頂にはKBSの中継所が、三聖山の山頂にはKBSKTの中継所があるため立入禁止。また、軍部隊施設が建っている南泰嶺一元と、政府の第2総合庁舎~工業振興庁の裏側も立入禁止となっている。

<交通>
1.  ソウル大入口
地下鉄2号線ソウル大入口3番出口)もしくは新林駅3番出口)のバス停からソウル大行きバスを利用。

2.  南峴洞・観音寺起点
地下鉄24号線舎堂駅(5番出口)から果川方面へ向かい、阿衡坂(アヒョンオンドッ)から路地を道なりに行くと、観音寺入口券売所(約600m)が現れる。券売所もしくは券売所上のバドミントンコートから尾根に上がれる。

3.  果川郷校起点
地下鉄4号線果川駅7番出口)もしくは政府果川庁舎駅11番出口)から徒歩で1015分の距離。

4.  工業振興庁起点
政府果川庁舎駅(11番出口)から徒歩で約20分の距離。工業振興庁の塀に沿って白雲寺(ペグンサ)への道に入る。
<月刊「山」 全国名山地図帳解説より>

[1]「火山活動をしている山」という意味ではない。

20101129日に撮影した動画>

<登山地図>
(動画の登り=赤 下り=青 
それ以外の日に投稿者が歩いた登山道=緑

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