楊平・清渓山(ヤンピョン・チョンゲサン/658.4m/京畿道)

京畿道楊平郡西側に位置する楊西面(ヤンソミョン)と西宗面(ソジョンミョン)との境を成す清渓山は、北漢江と南漢江を分かち、漢江岐脈[1]の締めくくりを飾る山である。この山が世間に関心を持たれ始めたのは、大幹[2]・正脈[3]縦走ブームに続き岐脈縦走登山が流行り始めてからのことであった。漢江岐脈の場合は両水里(ヤンスリ)が起点となり、必ず清渓山を経由しなければならなかったためである。また20081229日に登山口最寄りの両水駅から菊秀駅へと中央電鉄線が延伸開業したことにより、さらに多くの登山客が訪れるようになった。

電鉄線の延伸で交通の便が良くなり訪れやすくなった清渓山だが、他の魅力もある。穏やかな山容で危険箇所もほとんどないため、老若男女を問わず家族連れでも訪れやすく、登山コースも豊富である。その上、標高600m級の山にしては四方に遮るもののない眺望を楽しめるという味も加わる。特に南漢江と北漢江を見下ろす眺めは、近隣の他の山より際立っていると評される。

山頂から北方を眺めると、西厚里(ソフリ)峡谷の向こうに遠方の古同山(コドンサン)や禾也山などとともに旗峰(キボン 標高462.2m)の尾根が広がる。北東方向は玉山(オクサン)尾根の向こうに仲美山(チュンミサン)、ソグニ山、有明山(ユミョンサン)が望める。東方は龍門山と白雲峰(ペグンボン)が天地の境を成す。南東方向は清渓里(チョンゲリ)と澄東里(チュンドンニ)の盆地を取り囲んだ梅峰山(メボンサン)の稜線があり、その向こうに楊平大橋と楊根(ヤングン)大橋がまるで2本の箸のようにかかっている南漢江が見渡せる。南方は南漢江の向こうに楊平郡江下面(カンハミョン)を取り囲んだ楊子山(ヤンジャサン)と鶯子峰(エンジャボン)が広がる。

清渓山への代表的な登山コースとしては、東側の古県(コヒョン、澄東1里)集落~東稜、半月形(パヌォリョン、清渓2里)集落~東稜、塔谷(タッコッ、清渓1里)~南稜を経由して山頂へと登るコースがある。南側からは、菊水駅を起点とし亭子洞(チョンジャドン、菊水1里)~兄弟峰(ヒョンジェボン)南稜、新村(シンチョン)~兄弟峰南稜を経由するコースが最も多く利用されている。道谷里(トゴンニ)からは兄弟峰南西稜へと登るコースがある。

新院里(シヌォンニ)は妙谷(ミョゴッ、新院2里)集落と月渓(ウォルゲ、新院1里)集落に分けられる。数軒の祈祷院が建っている妙谷集落からは兄弟峰南西稜へと登る登山道があるが、このコースはほとんど利用されていない。

月渓集落からは、兄弟峰の西稜上にある泉谷峠(センムルコゲ)へ向かうコースと芙蓉山(プヨンサン)の南稜へと登るコースがあるが、この両コースは登りよりも下山ルートとして利用される程度である。妙谷と月渓集落方面のコースがあまり利用されていないのは、以前登山口の最寄駅として使われていた新院駅の駅舎が工事中で電車が停車しないためである(その後、新院駅は20091223日に営業を再開している)。

清渓山の西稜末端となる両水駅からは、龍潭薬水(ヨンダムヤクス)または鄭昌孫(チョン・チャンソン)の墓地(芙蓉2里)を起点とし下渓山(ハゲサン)~芙蓉山~兄弟峰を経由するコースと、芙蓉2里の端にある沙村(サチョン)集落の漢陰・李德馨(ハヌム・イ・ドッキョン)神道碑~芙蓉山北稜~芙蓉山~兄弟峰を経由して山頂へ至るコースがある。芙蓉山北側の木旺里(モグァンニ)からは泉谷峠やピドゥッ峠へと登る短いコースもある。

八堂公園墓園方面へ伸びる西稜は現在立入禁止区域となっているが、八堂公園墓園東側の沢~松谷峠(ソンゴルコゲ)~北稜と、八堂公園墓園入口東側のポッ峠~松谷峠~北稜コースは利用できる。この他、清渓山東稜の北側にある西厚1里の松谷から松谷峠へと登るコースは廃道となった。西厚2里から東稜のテン峠へと登るコースもほとんど利用されていない。
<月刊「山」 全国名山地図帳解説より>

[1]漢江岐脈(ハンガンギメッ) 五台山の頭老峰(トゥロボン)から北漢江と南漢江が出合う両水里まで、約160㎞余りの山脈。
[2]白頭大幹(ペクトゥデガン) 太白山脈小白山脈などで成す、朝鮮半島の脊梁山脈。
[3]正脈(チョンメッ) 白頭大幹から伸びた支山脈。朝鮮半島に13の正脈がある。

20101113日に撮影した動画>

<登山地図>
(動画の登り=赤 下り=青