「第2のサブプライム」再現、グローバル拡大懸念

FRBが今年9月から段階的に基準金利を引き上げることが確実視される中、その余波として住宅担保ローン危機が韓国を含め全世界に拡散する恐れがあるという懸念の声が出ている。

日本では、米国の金利引き上げにより、去る2007年の米国サブプライム住宅ローン危機当時の悪夢が今後23年のうちに再現される恐れが提起されている。サブプライム住宅ローン危機は、去る2000年代前半のドットコム崩壊直後に、悪化した景気を引き上げるために米国政府が繰り広げた超低金利政策を終えたことにより発生した経済現象である。不動産バブルがはじけたことで住宅価格が下落、低金利時に無理なローンを組んだ住宅購入者が住宅ローンを償還できず自己破産に至り、彼らに貸し付けた米国の大手金融会社や証券会社も相次いで破産した。

CNNマネーなど主要海外ニュースは、近くFRBが金利を引き上げた場合、住宅担保ローン金利の上昇によりローンを返せずに苦しむ家庭が米国内で急増すると報じた。今回は2007年のウォール街発金融危機よりもさらに大規模に起きる恐れもあるとの分析も一部で成されている。

特に最近になり、韓国を含め世界主要国の中央銀行が相次いで自国通貨価値を下げる金融緩和に乗り出しており、米国の基準金利引き上げによりこれらの国内金融市場の変動幅は予想よりさらに大きくなると見込まれ、危機感はさらに高まっている。

今年に入り、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和の決定前後に、中国、インド、カナダ、スウェーデン、スイス、オーストラリアなど18か国が政策金利を引き下げた。世界主要国の金融緩和政策によりユーロや円など主要国通貨に対するウォンの価値が値上がりし、韓国銀行は金利を引き下げることでウォン高を抑制する必要性が高まったと判断したものと見られる。先月発表した1%台への金利引き下げについて韓国銀行は、輸出競争力を高めデフレを防ぐ手段という公式見解を発表した。

韓国は中央銀行が「1%台基準金利」という前例なき道を選択したことで、住宅担保ローン金利も年2%台時代を迎えることとなった。現に固定金利型住宅担保ローン金利(3年後変動金利転換)が、韓国銀行による基準金利引き下げが発表された翌日の13日には、最低2.72%、最高3.02%にまで下落した。固定金利型住宅担保ローン取引を始める場合に適用される金利は国債金利の上下動により変動するが、国債金利変動のほとんどは翌日即、住宅ローン金利に反映される。

住宅担保ローンにそっぽを向く人々が増えることにより、家庭の借金が急増するという問題点が指摘されている。基準金利引き下げと政府の不動産金融規制緩和以降に急増した家庭の借金が、住宅担保ローンを中心により一層早く増える恐れがある。

韓国銀行が苦肉の策として打ち出した金利引き下げ措置が、短期的には企業の立場から見て貿易収支を改善することになると見られるが、わずか23年後に目を向けても、実際に米FRBの追加金利引き上げの直撃弾を受けることになるのは、低金利時に無理な住宅担保ローンを組んだ中間層以下の庶民層とならざるをえない。金利引き上げで、ローンを返すにあたり負担が増加した家庭の借金増がさらに速度を速め、実質的には打撃を受ける家庭が相次ぐとの見込みだ。

韓国銀行が短期的に引き下げた基準金利は、時間差はあるだろうが、最終的に米FRBの金利引き上げに伴い急速に再上昇せざるをえない。米国の基準金利が引き上げられることで、すぐに韓国の基準金利が上昇すると断言はできない。しかし米韓の基準金利差が拡大すると、ドルで構成される国際資本が韓国から流出することになり、この状況で韓国政府と中央銀行が金利を上げずに持ちこたえるのは理論的にも実体市場からも事実上不可能との見方が支配的だ。韓国の基準金利引き下げにより米国との対外金利差が縮小し、韓国金融市場から大規模な資本流出が起こりうるとの状況も取り上げられている。資本流出を防ぐには、基準金利を引き上げ、ドルに対するウォンの価値を上げる必要があるが、韓国銀行は反対に基準金利を引き下げた。

早ければ2年以内にも予想される米国基準金利3%時代が現実となれば、韓国経済はすぐさま「借金の罠」に陥り、消費者購買力を失うことで内需悪化と景気後退の手順を踏むことになることは容易に予想できる。
<韓国 ブリッジ経済より>

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